佐藤家の末っ子はただのしがない金属工芸作家なのだが、お金もないのに隙あらば海外へ行ってしまうし、親の言うことなんては聞きもしない。

そんなしようもないどら娘がとある梅雨の短かった初夏のその日、会社をつくった。

日本の金属工芸のために、と言っている。

家族みんなで頑張ろう、と言っている。

​産んでしまった、育ててしまった責任を感じ、佐藤家は今日も一丸となって働いている。